前回の実測ガイドで、想定外の事実にぶつかりました。Ollama CloudのGLM-5.2は、無料枠では1文字も動きません。
ollama run glm-5.2:cloudを叩くとError: 403 Forbidden: this model requires a subscription, upgrade for accessが返ります。動かすにはOllama Pro、月20ドルが必須でした。
つまり本当の分岐点は「無料か有料か」ではありません。同じ月20ドル前後を払うなら、プロキシ経由のOllama Proと、本家Z.aiへの直接契約と、どちらが得なのか。 そこが問われます。
この記事のポイント
- ポイント1:Ollama Cloudの無料枠でGLM-5.2は動かない。403で弾かれ、Pro(月20ドル)が必須です
- ポイント2:Z.ai GLM Coding PlanのLiteは月18ドル。Ollama Proより安く、GLM-5-Turbo・GLM-4.7・GLM-4.5-Airもバンドルされます
- ポイント3:接続が失敗する真犯人は
ANTHROPIC_API_KEY。Z.aiはANTHROPIC_AUTH_TOKEN(Bearer方式)を要求します
前回のおさらい:無料枠では403、Ollama Proが必須だった
Ollama Cloud経由でGLM-5.2を使う道は、最初から有料です。
理由は、GLM-5.2がOllama Cloudの有料モデルとして提供されているからです。前回の記事【2026年最新】GLM-5.2をClaude Codeで動かす実測ガイドで実機確認しました。
紛らわしいのは、ollama show glm-5.2:cloudがメタデータを正常に返す点です。ところがollama run glm-5.2:cloudで推論を投げた瞬間、403で弾かれます。メタデータが見えることと使えることは別でした。同じアカウントでもnemotronなど無料枠モデルは動くので、GLM-5.2だけアクセス階層が違います。
Ollamaのプランは3段階です。Freeは0ドルですがGLM対象外。Proは月20ドルでGLM利用の最低ライン。Maxは月100ドルで新規受付を停止中です。
速度も実測しました。Pro経由のGLM-5.2は56トークン/秒、無料枠モデルの30トークン/秒に対してほぼ2倍です。接続もollama launch claude --model glm-5.2:cloudのワンコマンドで済みます。前回の結論は「ローカルGPU(24GB以上)が無いなら、GPU増設よりProの方がコスパが良い」でした。
つまり選択肢は、GPUを買うか月20ドルを払うかの二択です。ここに第三の道があります。
なぜ本家Z.aiへの直接契約が比較対象になるのか
Ollama Proは、GLM-5.2へのプロキシです。本家に直接契約すれば、同等以下の金額でより多くを得られます。
理由は2つあります。1つは価格。Z.ai GLM Coding PlanのLiteは月18ドルで、Ollama Proの20ドルより安い。もう1つは対象範囲で、Z.aiのプランはGLM-5.2に加えて複数モデルを含みます。
GLM-5.2はZhipu AI(Z.ai)が2026年6月13日に公開したモデルです。約744BパラメータのMoE構成でアクティブパラメータは約40B、MITライセンスのオープンウェイト、コンテキストウィンドウは100万トークンです。なお前回は756Bと書きましたが、その後の複数ソース確認でZ.ai公式ブログを含め744Bが優勢でした。ここは744Bに訂正します。
GLM-5.2はどれくらい強いのか
| ベンチマーク | GLM-5.2 | Claude Opus 4.8 | Claude Opus 5 | GPT-5.5 |
|---|---|---|---|---|
| SWE-bench Pro | 62.1 | 69.2 | 79.2 | 58.6 |
| Terminal-Bench 2.1 | 81.0 | 85.0※1 | – | – |
| FrontierSWE | 74.4 | 75.1 | – | – |
| MCP-Atlas | 76.8 | 77.8 | – | – |
※2026年7月時点の公開値です。
※1 Z.ai公表の比較表による値です。独立ハーネス(Terminus-2)では74.6という報告もあり、採点環境で変動しやすい点に注意してください。
実務寄りの指標ほど差が縮まる傾向が読み取れます。FrontierSWEは0.7ポイント差、MCP-Atlasは1.0ポイント差でほぼ互角です。一方でSWE-bench Proの差は大きく、2026年7月24日公開のClaude Opus 5は79.2点とさらに引き離しています。
制約もあります。GLM-5.2はテキスト専用で、画像やPDFの読み取り、Computer Useには対応しません。スクリーンショットを貼って「このUIのバグを直して」とは頼めません。
Z.aiの料金プラン(※2026年7月時点)
API従量課金は入力100万トークンあたり1.40ドル、出力100万トークンあたり4.40ドル。Claude Opus系(入力5ドル・出力25ドル)と比べて出力で約6分の1、入力で約3.6分の1です。
サブスクリプションのGLM Coding Planは3段階です。
| プラン | 月額 | 年払い(目安) |
|---|---|---|
| Lite | 18ドル | 151ドル |
| Pro | 72ドル | 605ドル |
| Max | 160ドル | 1,344ドル |
いずれのプランでもGLM-5.2・GLM-5-Turbo・GLM-4.7・GLM-4.5-Airがバンドルされます。対応ツールはClaude Code・Cline・Roo Codeなど20以上。新規契約に30%割引が適用されるケースも多く見られます。
注意点もあります。GLM-5.2とGLM-5-Turboは、ピーク時間帯(UTC+8の14時〜18時)にクォータを3倍消費します(オフピークは2倍)。Liteで使い倒すなら、作業時間帯をずらす工夫がコスパを左右します。
セットアップ手順:.zshrcにccglmエイリアスを作る
設定は環境変数5つを並べたエイリアス1本で完結します。 ただし筆者は最初、これを盛大に間違えました。
狙いは、ccglmと打つだけでGLM構成のClaude Codeが立ち上がる状態です。通常のclaudeはAnthropic公式のまま残し、用途で使い分けたいからです。
Before(動かなかった設定)
最初に.zshrcへ書いたのが、この内容でした。
# Before(動かなかった)
alias ccglm='ANTHROPIC_API_KEY="<Z.aiのAPIキー>" \
ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL="GLM-5.2" \
ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL="GLM-4.7" \
ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL="GLM-4.7-FlashX" \
claude'
APIキーを渡し、モデルも指定しています。一見それらしいのですが、実行すると認証エラーで落ちました。
After(動いた設定)
原因を潰した結果が、次の設定です。
# After(動いた)
alias ccglm='ANTHROPIC_AUTH_TOKEN="<Z.aiのAPIキー>" \
ANTHROPIC_BASE_URL="https://api.z.ai/api/anthropic" \
ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL="glm-5.2" \
ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL="glm-4.7" \
ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL="glm-4.7-flashx" \
claude'
差分は3点です。
ANTHROPIC_API_KEYをANTHROPIC_AUTH_TOKENに変更したANTHROPIC_BASE_URL="https://api.z.ai/api/anthropic"を追加した- モデル名をZ.ai公式表記に合わせて小文字化した(
GLM-5.2→glm-5.2)
保存したらsource ~/.zshrcで読み込み、ccglmと打てば起動します。
なお、APIキーを.zshrcへ平文で書く点には注意してください。dotfilesをGitで管理している方は、キーを別ファイルに切り出して.gitignoreに登録する運用が安全です。
ハマりどころ解説:ANTHROPIC_BASE_URLだけでは繋がらない
「BASE_URLは合っているのに繋がらない」場合、疑うべきは認証方式です。
なぜなら、Claude Codeには認証の入り口が2つあり、送信されるHTTPヘッダーが変わるからです。接続先を正しく向けても、ヘッダーの形式が相手の期待と違えば弾かれます。
1つ目の原因はANTHROPIC_BASE_URLの未設定です。これが無いと、Claude CodeはZ.aiのキーを握ったまま本家api.anthropic.comへ接続しに行きます。筆者はenv | grep -i anthropicで、初めてこの変数が無いと気づきました。
2つの認証方式の違い
そして2つ目が本命の落とし穴です。
| 環境変数 | 認証方式 | 送信されるヘッダー |
|---|---|---|
ANTHROPIC_API_KEY | x-api-key方式 | x-api-key: <key> |
ANTHROPIC_AUTH_TOKEN | Bearerトークン方式 | Authorization: Bearer <token> |
Z.aiのAnthropic互換エンドポイントhttps://api.z.ai/api/anthropicは、Bearerトークン認証を要求します。ANTHROPIC_API_KEYで渡すとx-api-keyヘッダーになるため、キーの値が正しくても認証は通りません。
この教訓はZ.ai以外にも効きます。Anthropic互換エンドポイントを名乗るサービスでも、受け付けるヘッダーは実装ごとに違うからです。接続先を直しても駄目なら、次は認証方式を疑ってください。
おまけ:ANTHROPIC_DEFAULT_*_MODELという仕組みの面白さ
この3つの環境変数は、Claude Codeの拡張性を象徴する設計です。
理由は、モデルの「役割名」と「実体」を分離しているからです。Claude Codeは内部にOpus・Sonnet・Haikuの3枠を持ち、この変数群は枠に入る実体を差し替えるスイッチとして働きます。
今回のエイリアスでは、次の対応づけをしています。
- Opus枠 →
glm-5.2(設計や難所の実装用) - Sonnet枠 →
glm-4.7(日常のコーディング用) - Haiku枠 →
glm-4.7-flashx(要約や補助タスク用)
この結果、/model opusでGLM-5.2、/model sonnetでGLM-4.7に切り替わります。既存のコマンド体系がそのまま使えるので、頭の中の操作モデルを組み替える必要がありません。
結局どれを選ぶべきか:GLM-5.2への3つの入り口
判断軸はコスト・データの流れ先・導入の速さの3つです。
| 選択肢 | 月額の目安 | GLM-5.2へのアクセス | データの流れ先 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ローカルGPU(24GB以上) | 電気代のみ(初期5〜8万円) | ローカル完結 | 完全ローカル | 初期投資が壁。Ollamaのローカル実行 |
| Ollama Pro経由 | 20ドル〜 | Ollama Cloud経由(プロキシ) | Ollama社サーバー | ollama launch claude --model glm-5.2:cloudで導入最速 |
| Z.ai GLM Coding Plan(直接) | 18〜160ドル | Z.ai直結 | Z.aiサーバー(中国) | GLM-5-Turbo/4.7/4.5-Airもバンドル。20以上のツールに対応 |
※料金はいずれも2026年7月時点です。
選び方はこう整理できます。
- 機密コードを扱う:ローカルGPU一択。データが手元から出ません
- 最速で動かしたい:Ollama Pro。ワンコマンドで繋がります
- 同じ予算で得るものを最大化したい:Z.ai直接。18ドルで複数モデルと20以上のツール対応が付きます
- 精度を最優先する:Anthropic公式Pro(月20ドル、Claude Opus 5)。マルチモーダルとComputer Useが必要ならここです
Z.aiを選ぶ際の判断ポイントは、データの送信先です。運営元は中国のZhipu AIです。業務の機密コードを扱うなら、ローカル運用か社内規程で承認済みのサービスを選んでください。個人の学習プロジェクトや公開リポジトリなら、コスト対効果はZ.ai直接が抜けています。
まとめ
今回はOllama Pro経由とZ.ai直接契約を比較しました。
この記事のポイント
- Ollama Cloudの無料枠でGLM-5.2は動きません。403で弾かれ、月20ドルのProが最低ラインです
- 同じ予算ならZ.aiのLite(月18ドル)が有利。GLM-5-Turboなど3モデルも付き、20以上のツールで直接使えます
- 接続の鍵は
ANTHROPIC_AUTH_TOKENとANTHROPIC_BASE_URLの2点セットです
エイリアス1本で、ccglmと打つだけでGLM-5.2構成のClaude Codeが立ち上がります。 公式のclaudeはそのまま残るので、用途で使い分けられます。
導入の速さならOllama Pro、同じ金額で得るものを増やすならZ.ai直接。GLM-5.2を試すコストがゼロではないと分かった以上、最初の1か月をどちらに払うかが実質的な選択です。
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