企業のIT担当者なら誰もが経験する「プロキシ設定」の煩わしさ。
私は今社内でDifyを用いてAI RAGのPoCを行っています。Difyについては以下の記事をご覧ください。
ですが、Difyは頻繁にアップデートをしているため、プロキシをdocker-compose.yamlに設定しているのですが、更新のたびにメンテするのが非常に大変で困っていました。
その不満をPerplexityに相談してみたら、今回紹介するdocker-compose.override.yamlを使った設定方法を提案してくれました。
特に、頻繁にアップデートが必要なコンテナ環境では、その都度設定を書き換える作業が大きな負担となっています。今回は、この課題を解決する「docker-compose.override.yaml」の活用方法をご紹介します。
なぜdocker-compose.override.yamlが必要なのか
企業環境では、セキュリティ対策としてプロキシサーバーを介してインターネットにアクセスすることが一般的です。しかし、Docker環境では以下のような課題が発生します:
- コンテナのアップデートの度にプロキシ設定を書き直す必要がある
- 開発環境と本番環境で異なる設定が必要
- プロキシ設定が含まれたdocker-compose.yamlをGitで管理しづらい
docker-compose.override.yamlによる解決策
今回はDifyを前提としてdocker-compose.override.yamlの設定をご紹介いたします。
プロキシサーバーについては各会社の設定にも依存するかと思いますので、今回の設定はあくまでも一つのサンプルとして共有いたします。
# docker-compose.override.yaml
x-common-env: &common-env
HTTP_PROXY: "http://xxx.xxx.xxx.xxx:3128"
HTTPS_PROXY: "http://xxx.xxx.xxx.xxx:3128"
NO_PROXY: "localhost,127.0.0.1,api,worker,db,redis,sandbox,weaviate"
services:
api:
environment:
<<: *common-env
worker:
environment:
<<: *common-env
sandbox:
environment:
<<: *common-env
このようにベースとなる情報はあくまでもdocker-compose.yamlに定義されているため、そこにさらに追加したい設定を記載しておくことで、”docker compose up -d”で起動した際に、自動的に設定を書き加えて起動されるようになります。
実践的なTips
- 環境変数の共通化: x-common-envを使用して、複数のサービスで同じプロキシ設定を共有
- NO_PROXY設定の最適化: 内部通信が必要なコンテナをすべてNO_PROXYに追加
- 設定のバージョン管理: override.yaml.exampleとしてテンプレートを共有し、実際の設定は.gitignoreに追加
このアプローチの主なメリット
- 設定の分離管理
- 基本設定(docker-compose.yaml)とプロキシ設定(override.yaml)を別ファイルで管理
- GitHubでの共有時にプロキシ情報を除外可能
- 環境ごとの設定変更が容易
- メンテナンス性の向上
- アプリケーションのアップデート時に基本設定ファイルを上書きするだけでOK
- プロキシ設定は継続して使用可能
- 設定ミスのリスクを大幅に低減
- 効率的なコンテナ間通信
- NO_PROXYを使用してコンテナ間の直接通信を確保
- 不要なプロキシ経由を防ぎ、パフォーマンスを最適化
まとめ
docker-compose.override.yamlの活用は、企業のDocker環境運用における「プロキシ設定」の課題を効果的に解決します。
特に、Difyのような頻繁なアップデートが必要なアプリケーションでは、この方法により運用負荷を大幅に軽減できます。ぜひ、あなたの環境でも試してみてください。
次のステップとして、チーム内でこの設定方法を共有し、標準化することをお勧めします。また、他のDocker環境でも同様のアプローチを適用することで、より効率的な運用が可能になるでしょう。
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