はじめに:一人でやっていた時の限界
正直に言います。私は「ブログ記事を書く」という作業が苦手でした。
リサーチして、構成を考えて、執筆して、SEO設定して、SNS投稿文を作って…。やることが多すぎて、1記事に丸1日以上かかることもザラでした。
しかも、毎回「あれ、前はどうやったっけ?」と過去のメモを探す時間がかかる。品質もバラつく。月4本の目標なんて、到底達成できませんでした。
これが、AIと協調することで変わりました。
今では「ブログ書いて」と伝えるだけで、リサーチから公開準備まで自動化できています。私の役割は「テーマを決める」「最終チェックする」だけ。
この記事では、私が実際にCursorのカスタムコマンド6個をClaude CodeのAgent Skillに移行した体験をお伝えします。
ただの技術的な移行手順ではなく、「AIに何をやってもらうか」を設計する考え方も共有します。あなた自身の業務で「これ、AIにやってもらえないかな?」と考えるヒントになれば嬉しいです。
この記事でわかること:
- 一人では限界だった作業がAIとの協調でどう変わったか
- Agent Skillで「自分専用のAIアシスタント」を作る方法
- 実際の移行手順(Before/After付き)
- あなたの業務に置き換えるためのヒント
想定読者:
- 「AIで業務効率化したいけど、何から始めればいいかわからない」方
- 定型作業を自動化したいが、毎回プロンプトを書くのが面倒な方
- Cursorでカスタムコマンドを使っている方
Agent Skillとは(おさらい)
前回の記事「【完全ガイド】Agent Skills入門」で詳しく解説しましたが、簡単におさらいします。
Agent Skillは、AIエージェントに「専門知識」を教える仕組みです。
| 概念 | 役割 | 例 |
|---|---|---|
| Tool Use | 実行機能 | ファイル読み書き、Web検索 |
| Agent Skill | 考え方・判断基準 | コードレビューの観点、執筆ルール |
Tool Useが「何ができるか」を定義するのに対し、Skillsは「どう考えるか」を定義します。
一度作れば、同じ品質で何度でも実行できます。
Before: Claude Codeカスタムコマンドの運用
私はこれまで、ブログ記事作成のワークフローをClaude Codeのカスタムコマンドで管理していました。
フォルダ構造
.claude/commands/
├── blog00-planning.md # 執筆計画生成(297行)
├── blog01-generate-article.md # 記事生成
├── blog02-generate-seo.md # SEO情報生成
├── blog03-generate-social.md # SNS投稿文生成
├── blog04-generate-thumnail.md # サムネイルプロンプト
└── blog05-archive.md # 公開後アーカイブ
課題
この運用には、いくつかの課題がありました。
1. ファイルが増えすぎる
コマンドが6個、それぞれ100〜300行。合計すると1,000行を超えます。どこに何が書いてあるか把握しづらくなりました。
2. Claude Code専用になる
.claude/commands/はプロジェクト内の専用コマンドです。Cursorなど別ツールに乗り換えたとき、そのまま使えません。
3. 共通ルールの管理が面倒
「です・ます調で書く」「1文60文字以内」など、全コマンドで共通のルールを変更するたび、6ファイルすべてを修正する必要がありました。
After: Agent Skillへの移行
Claude CodeのAgent Skillに移行した結果、以下の構造になりました。
新しいフォルダ構造
.claude/skills/blog/
├── SKILL.md # メインファイル(75行)
└── references/
├── workflows.md # ワークフロー詳細(295行)
├── writing-rules.md # 執筆ルール(共通化)
└── templates.md # 出力テンプレート
改善ポイント
1. メインファイルは75行だけ
SKILL.mdには「いつ使うか」と「基本的な使い方」だけを書きます。詳細はreferencesフォルダに分離。必要なときだけ読み込まれる設計です。
2. ツール非依存
Agent Skillはオープンスタンダード。Claude Code、Cursor、その他のツールでも同じファイルを使えます。
3. 共通ルールを1箇所で管理
writing-rules.mdを1つ修正すれば、全コマンドに反映されます。
移行手順: skill-creatorで5分
実際の移行手順を紹介します。
Step 1: skill-creatorをインストール
まず、Anthropic公式のskillsプラグインをインストールします。
# プラグインマーケットプレイスから追加
/plugin marketplace add anthropics/skills
# example-skillsパッケージをインストール
/plugin install example-skills@anthropic-agent-skills
これでskill-creatorが使えるようになります。
Step 2: skill-creatorを起動
/skill-creator
skill-creatorが対話形式でヒアリングを始めます。
Step 3: 概要を説明
私は以下のように説明しました。
ブログ記事作成を自動化するスキルを作りたいです。
以下の6つのコマンドを統合します:
1. /blog-research: テーマのリサーチ
2. /blog-plan: 企画書作成
3. /blog-write: 記事執筆
4. /blog-optimize: SEO/SNS最適化
5. /blog-publish: 公開準備
6. /blog-auto: 上記を全自動実行
既存のCursorコマンドは .cursor/commands/blog*.md にあります。
Step 4: AIがヒアリング
skill-creatorが追加の質問をしてきます。
- 「出力先のフォルダは?」
- 「執筆ルールで特に重視することは?」
- 「どの程度の自動化を期待しますか?」
質問に答えていくと、AIがSKILL.mdを生成してくれます。
Step 5: 生成されたファイルを確認
# 生成先を確認
ls .claude/skills/blog/
SKILL.mdと、必要に応じてreferences/フォルダが生成されています。
生成されたSKILL.mdの中身
実際に生成されたSKILL.mdの冒頭を紹介します。
---
name: blog
description: |
ブログ記事の自律的な作成を支援するスキル。
テーマを指定するだけで、リサーチ→企画→執筆→SEO最適化→公開準備まで一貫して実行。
Use when:
(1) ブログ記事を書きたい時(/blog-auto, /blog-plan, /blog-write)
(2) テーマについてリサーチしたい時(/blog-research)
(3) 記事のSEO・SNS投稿文・サムネイルを生成したい時(/blog-optimize)
(4) 記事を公開・アーカイブしたい時(/blog-publish)
Triggers: 「ブログ書いて」「記事作成」「blog」「リサーチして」
---
# Blog Skill - 自律型ブログ作成エージェント
## Quick Start
# 全自動実行(推奨)
/blog-auto "テーマ" --mode standard
# 個別実行
/blog-research "テーマ" # リサーチのみ
/blog-plan "テーマ" # 企画書作成
/blog-write "企画書.md" # 記事執筆
ポイント:
descriptionに「Use when」を明記(いつ使うかをAIが判断できる)Triggersでトリガーワードを定義- Quick Startで基本的な使い方を示す
Progressive Disclosure: トークン効率の設計
Agent Skillの重要な設計原則が「Progressive Disclosure(段階的開示)」です。
3段階のローディング
1. メタデータ(name + description) → 常にロード(約100トークン)
2. SKILL.md本文 → トリガー時にロード
3. references/フォルダ → 必要に応じてロード
すべての情報を常にコンテキストに含めると、トークンを大量に消費します。必要なときに必要な情報だけをロードする設計が重要です。
実例: 私のblogスキル
| ファイル | 行数 | ロードタイミング |
|---|---|---|
| SKILL.md | 75行 | 「ブログ書いて」でロード |
| workflows.md | 295行 | /blog-auto実行時にロード |
| writing-rules.md | 50行 | /blog-write実行時にロード |
| templates.md | 100行 | 出力生成時にロード |
合計520行ありますが、一度に全部ロードされることはありません。
移行して感じたメリット
1. 管理が圧倒的に楽
6ファイル→1ファイル(+ 参照ファイル)になり、どこに何があるか一目瞭然です。
2. 呼び出しが自然言語でOK
❌ Before: /blog00-planning full
✅ After: 「今週のブログ計画を立てて」
コマンド名を覚えなくても、自然な日本語で呼び出せます。
3. 他ツールでも使える
同じSKILL.mdをCursorにも配置すれば、両方のツールで同じスキルが使えます。
.cursor/skills/blog/SKILL.md # Cursor用
.claude/skills/blog/SKILL.md # Claude Code用
内容は同じファイルをコピーするだけです。もしくはシンボリックリンクを作って管理するのもおすすめです。
注意点
1. 既存コマンドとの互換性
Agent Skillに移行しても、従来の/blog01-generate-articleのような呼び出しは引き続き使えます。無理に移行する必要はありません。
2. skill-creatorの出力を確認
AIが生成したSKILL.mdは、そのまま使えないこともあります。特に以下を確認してください:
- パス指定が正しいか
- ワークフローの順序が正しいか
- 必要なオプションが含まれているか
3. 未使用スキルは無効化
使わないスキルがコンテキストに含まれると、約100トークン消費します。無効化しておくとトークン節約になります。
あなたの業務に置き換えるためのヒント
ここまで読んで「面白いけど、自分の仕事には関係ないかな」と思った方もいるかもしれません。
でも、ちょっと考えてみてください。
AIに任せられる作業の見つけ方
以下の質問に当てはまる作業はありませんか?
1. 毎回同じような手順を踏む作業
- 週次レポートの作成
- 議事録のフォーマット整理
- コードレビューのチェック項目確認
2. 「前にやったはず」と過去のファイルを探す作業
- 見積書のテンプレート探し
- 過去のメール文面の参照
- 以前書いたドキュメントの書き方確認
3. 品質がバラつきやすい作業
- ドキュメントの書き方
- エラーメッセージの書き方
- 顧客への説明文
これらは全て、Agent Skillで「自分専用のAIアシスタント」を作る候補になります。
具体例:こんなSkillが作れる
| あなたの課題 | 作れるSkill |
|---|---|
| 議事録の書き方がバラバラ | 「議事録作成Skill」- フォーマット統一 |
| コードレビューで見落としがある | 「レビューSkill」- チェック観点を定義 |
| 週次報告に毎回時間がかかる | 「報告書Skill」- 情報収集〜整形を自動化 |
| 見積書の書き方を忘れる | 「見積Skill」- テンプレート+記入ガイド |
最初の一歩
難しく考える必要はありません。
- 「面倒だな」と感じる定型作業を1つ選ぶ
- その作業の手順をメモに書き出す
- skill-creatorに「こういう作業を自動化したい」と伝える
AIが質問してくれるので、答えていくだけでSkillができあがります。
大事なのは「AIに丸投げ」ではなく「AIと協調」する意識です。
私の場合、ブログ執筆の「テーマ決め」と「最終チェック」は自分でやります。でも、リサーチ・構成・下書き・SEO設定はAIに任せています。
自分がやるべきこと(判断・創造)と、AIに任せること(収集・整形・チェック)を分けることで、効率も質も上がりました。
まとめ
Cursorのカスタムコマンド6個をClaude CodeのAgent Skillに移行しました。
移行結果:
- ファイル数: 6個 → 1個(+ 参照ファイル3個)
- 総行数: 1,000行超 → 520行(うち常時ロード75行)
- 作業時間: 1記事1日 → 2-3時間に短縮
一人では限界だった作業が、AIとの協調で変わりました。
重要なのは技術的な移行手順ではなく、「AIに何をやってもらうか」を設計する考え方です。
あなたの業務にも、きっと「AIに任せられる作業」があるはずです。まずは「面倒だな」と感じる定型作業を1つ選んで、skill-creatorに相談してみてください。
参考リンク
- 【完全ガイド】Agent Skills入門 – 前回の記事
- Extend Claude with Skills – 公式ドキュメント
- GitHub – anthropics/skills – 公式スキルリポジトリ

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